Research Abstract |
太陽系外地球型惑星の直接撮像のためには,明るい恒星を微弱な惑星光レベル(例えば,10^<-10>)に除去するための高コントラスト観測が必要である。本研究では,新たな光波面補正技術(UNI-PAC法)に基づく高コントラスト観測システムの開発を行った。本システムは,非対称ナル干渉計(UNI),振幅位相補正光学(PAC),後置コロナグラフから構成され,惑星検出に必要な10^<-10>のコントラストを得るものである。平成21年度は,UNI部として開発を進めている偏光ナル干渉コロナグラフ(PINC)の性能評価を行った。干渉計部の振動を低減させることにより,安定した干渉出力が得られるようになった。その結果,2波長レーザ光源(λ=671nm,532nm)を用いて,5λ/Dの位置で10^<-6>の安定したコントラストを達成した。これより,後段の補償光学(PAC)の波面補正精度が向上した。本成果は,観測システム全体で10^<-10>のコントラストを達成させるための重要なステップである。さらに,後置コロナグラフとして,8分割位相マスク(EOPM)法の開発も行った。EOPM法は,大きな視直径を持つ恒星に対しても高いコントラストが実現できるという,大きな利点を有している。平成21年度は,強誘電性結晶を利用した波長に依存しないEOPMの開発を行い,人工白色光源用いたコロナグラフ実験を実施した。その結果,惑星検出領域において10^<-6>のコントラストを,広い波長域で達成した。また,光量損失が大きいという本手法の欠点を解決するため,新たに2光路コロナグラフ光学系の開発を行った。これにより,高効率のコロナグラフ観測システムの実現に対する見通しが得られた。本成果は,将来のスペース観測計画のための有望な搭載装置の候補となりうる,という点において極めて重大な意義を持つ。
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