2009 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカ都市における若者の創出する文化と社会的紐帯に関する都市人類学研究
Project/Area Number |
08J04789
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 貴夫 Nagoya University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アフリカ都市 / ストリート / 若者文化 / 文化変容 / 人の移動と移民 / マイノリティ |
Research Abstract |
今年度は、2009年7月~10月、12月~2010年3月に現地調査を行った。 今回の目的は、ワガドゥグのイスラームコミュニティの若者たちの参与観察を行った。ワガドゥグは、西アフリカの通商民の交易路の要所として成立しており、イスラームが深く根をおろしている。イスラーム的社会は、民族ごとの経済関係、宗教関係を形成している。これは、都市計画で一掃されたZangouetinというハウサ人居住区の旧住民の間にも見ることができる。近代化を狙い、約20年前に計画されたこの都市計画により、イスラーム的な家族的社会は崩壊したが、その結果、個人主義が根付いたという。それは、それまで働かなくとも、持つものが施す、というイスラーム的精神にも変化を与え、皮肉にも個人が労働によって生活を成り立たせるようになった。 この調査、研究の副産物として、ワガドゥグのイスラーム史の調査にも着手することができた。これまで、SKINNER,Elliotなどによってワガドゥグ史の研究が行われてきたが、最大民族モシ以外の視点からワガドゥグ史を検討した事例はない。成果物にするためには、さらなる調査が必要であるが、特に約30名の古老への聞き取りを行うことができ、貴重な資料が集まった。 また、継続課題として、ワガドゥグでストリートチルドレンの保護を行うNGO、KEOOGOにおいて調査を行った。昨年度行った調査にさらにデータを加えるべく、これまでのKEOOGOの活動で蓄積された聞き取りカルテを入手、さらに、ブルキナファソ赤十字などを訪問、聞き取りを行った。また、活動家であり、研究者でもあるWANGRE, Naba Jeremie氏、SOME, Maurice氏と研究交流を行った。 研究業績は、『人文科学研究』、『比較人文学年報』に投稿した他、日本アフリカ学会第47回研究大会(2009年5月)、京都大学gCOEの研究会での口頭発表などを行った。
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Research Products
(6 results)