2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動による特定高齢者の注意力改善のメカニズムの検討
Project/Area Number |
08J04801
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀田 亮 Kyushu University, 健康科学センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高齢者 / ストループ課題 / 注意力 / 文化活動 / 社会活動 / 身体活動 |
Research Abstract |
本研究では,運動が高齢者の認知機能,とりわけ注意力を改善するメカニズムについて心理・社会的要因と生理的要因という2つの側面から検討していくことを目的としている.昨年度の研究においては,まずその1つとして生理的要因に着目し,筋力や柔軟性あるいはバランス能力などの体力テストと高齢者の注意力との関係について調査した.その結果,柔軟性の指標である最大一歩幅そしてバランス能力の指標であるタンデムと注意力の間に有意な相関がみられた.この結果については,ドイツのベルリンにて開催された第29回国際心理学会にてその成果を発表している. 平成21年度の研究計画として,もう1つの要因である心理・社会的要因と高齢者の注意力の関係をみることとした.その前に,読書や新聞といった文化活動,あるいは友人との関わりやボランティア活動といった社会活動と高齢者の注意力との関連を調べることとした.その理由として,このような日常生活における活動も,運動と同様に高齢者の認知機能と関連することが先行研究から指摘されており,今後純粋に運動と認知機能の関連を見るときに考慮すべきものであると考えられるからである.調査の結果,いずれの活動も個別では高齢者の注意力とは関連していなかった.また,対象者を増やして追加調査を行ったところ,運動を含め日常生活においてさまざまな活動を行っている者ほど注意力は高いという結果が得られた.これらの研究結果については,昨年8月に大阪にて開催された第14回東アジア運動・スポーツ学会ならびに今年3月に福岡で開催された九州スポーツ心理学会第23回大会にて発表を行った.
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