2009 Fiscal Year Annual Research Report
多機能ナノ電気化学顕微鏡を用いた膜タンパク質の機能解析と細胞操作への応用
Project/Area Number |
08J04808
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 康史 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生細胞イメージング / 電気化学計測 / 酵素活性評価 / ナノ電極 / 液中高解像度形状測定 |
Research Abstract |
膜タンパク質の発現状態は疾病と密接な関わりがあり、遺伝子あるいは環境の影響を特定するため、その場での観察可能な分析技術が求められる。そこで、細胞の活性・代謝を電気的に評価可能な走査型電気化学顕微鏡(SECM)をベースとし、プローブであるマイクロ電極に加工を施し、形状・電気化学・光学測定を同時に行う多機能ナノ電気化学顕微鏡を開発した。 本システムは、細胞をディッシュから剥離せずに膜タンパク質を評価可能なため、細胞剥離時に生じる膜タンパク質へのダメージの影響を受けない。また、異種類の細胞パターンの同時評価が可能である。発現状態が癌の増殖・分化と密接な関わりがある上皮成長因子受容体(EGFR)について、異種類の細胞について膜タンパク質の発現量評価に成功し、これまでの報告と高い相関性が見られた。 電気化学測定は細胞表面のセンシングに有効であり、光学測定と組み合わせることで、細胞の内外を明瞭に識別できる。そこで、光ファイバー電極を用いて、GFPの遺伝子と放出型アルカリフォスファターゼ(SEAP)を共発現させたHeLa細胞の測定を行った。HeLa細胞の細胞内に発現したGFPに起因した蛍光と、細胞外に放出されたSEAPの酵素活性に起因した酸化電流を光ファイバー電極により同時に検出することができた。さらに、シアフォース距離制御を行うことで細胞の形状測定と、電気化学測定および蛍光測定の高感度化に成功した。 接着性の細胞は、細胞-細胞間の相互作用によりmRNAの発現状態が変化するため、選択的かつ迅速な回収技術が求められる。そこで、`中空リング電極を用いて、局所的にパルス電位(40V,10μs)を印加し、単一細胞を破砕・回収し、定量的遺伝子評価(リアルタイムPCR)を行った。基板接着に関与するインテグリンの遺伝子について、単一細胞での遺伝子発現量の定量に成功し、電場破砕による遺伝子への影響がないことを証明した。
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Research Products
(7 results)