2008 Fiscal Year Annual Research Report
組換えプロテオリポソーム作製技術を用いた新しいドラッグデリバリーシステムの構築
Project/Area Number |
08J04817
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
神谷 厚輝 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・生命情報科学教育部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | プロテオリポソーム / バキュロウイルス / コネキシン / 人工細胞 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
DDSに用いられる薬剤封入リポソームが細胞へ取り込まれ方として、現在一般的に、細胞表面への吸着、膜融合、エンドサイトーシス経路によるとされている。これらの方法では,リポソーム表面に正電荷を付した方が良い効率が得られるとされているが、負に帯電した細胞膜表面との相互作用が強くなりすぎ、細胞毒性が生じやすい。また、エンドサイトーシスに依る経路は、薬剤投与時の力価を実質的に下げてしまう危険性がある。一方、コネキシン(Cx)リポソームを用いたDDSは、細胞間ギャップジャンクション(GJ)を介して直接細胞質へ薬剤を送り込む全く新しい概念に基づくため、正電荷による毒性やエンドサイトーシスによる影響を排除できると考え、三重大学で開発されたバキュロウイルス発現系を用いた新規プロテオリポソーム作製法を用い研究を行った。この新規プロテオリポソーム作製手段は、まずバキュロウイルスの出芽ウイルスエンベロープ上に組換え膜タンパク質を得る。次に組換え出芽ウイルス(BV)とリポソームを融合させ、プロテオリポソームを作製する方法である。遺伝子組換えにより、昆虫細胞上にCxの発現が確認され、さらにコネキシンが出芽ウイルスエンベロープ膜上への移行がwestern blotにより確認され、Cx組換えBV作製に成功した。得られたCx-EGFP組換えBVを融合至適条件で巨大リポソーム(GUV)と融合させ共焦点レーザー顕微鏡観察を行ったところ、GUV膜上にEGFPの蛍光が観察されたことからCxリポソームが得られていることが分かった。次に、発現させたコネキシンの物質輸送能の有無をCx組換えBVを感染させた昆虫細胞間でcalcein移行実験を行い検証した。Cx感染細胞間でcalceinの移行が起こり、機能を保持したコネキシンが発現していることが分かった。さらに、Cx再構成巨大リポソームとCx強発現ヒト骨肉腫細胞(U20S細胞)で物質輸送能の検討を行ったところ、リポソームから細胞内への物質輸送しえることを示唆する結果を得た。
|
Research Products
(2 results)