2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌の感染成立に関わる因子の解明とそれに基づく予防ワクチンの検索
Project/Area Number |
08J04830
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 雅也 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Streptococcus pneumoniae / 病原微生物学 / フィブロネクチン / 付着因子 / 侵入因子 / 抗貪食能 / 菌体表層タンパク / 肺炎球菌 |
Research Abstract |
Streptococcus pneumoniae R6株のゲノムデータベースから,LPXTGモチーフを持つ22のオープンリーディングフレームを選出した.22のオープンリーディングフレームについてin silico解析を行い,最終的に13種類の推定菌体表層タンパクを選出した.これらの推定菌体表層タンパクのうち,spr1345,spr1652,spr1806について組換えタンパクと抗血清を作製した. 作製した組換えタンパクを用いたリガンドブロット法により,ヒト由来のプラスミン,プラスミノーゲンおよびフィブロネクチンと結合するタンパクを同定し,Plasmin and fibronectin binding protein A(PfbA)と命名した.Biacoreによる解析から,PfbAと各ヒト宿主成分との解離定数K_Dは,それぞれ2〜7x10^<-6>の値が得られた. 抗PfbA血清を用いた共焦点レーザー顕微鏡による観察とフローサイトメーター解析から,PfbAが菌体表層に発現することが明らかになった.そこで,生菌体表層における蛍光標識化フィブロネクチン結合能をフローサイトメーターで検索した結果,pfbA遺伝子の欠失がフィブロネクチン結合能の低下につながることが示された.また,pfbA遺伝子欠失株のヒト上皮細胞株への付着率・侵入率は,野生株と比較して50%に低下した.PfbAを固相化した蛍光ビーズは,陰性対照群のビーズと比較して肺胞上皮細胞に20倍以上付着することが示された.また,pfbA遺伝子欠失株は血中での生存率は,反応3時間後に57%まで低下した. 以上の結果から,S.pneumoniae R6株の菌体表層タンパクPfbAは,ヒト上皮細胞への付着・侵入因子であり,血中において抗貪食能を発揮する多機能タンパクであることが示唆された.(778文字)
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Research Products
(5 results)