2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌の感染成立に関わる因子の解明とそれに基づく予防ワクチンの検索
Project/Area Number |
08J04830
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 雅也 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Streptococcus pneumoniae / 病原微生物学 / 抗貪食能 / 菌体表層タンパク / 肺炎レンサ球菌 / 好中球 / リアルタイム観察 / PfbA |
Research Abstract |
Streptococcus pneumoniaeを起因菌とする肺炎では,感染部位に多量の好中球が浸潤するにも関わらず,感染の深部組織への拡大が認められる.このことから.S.pneumoniaeは好中球に抗する分子機構を有すると考えた.本研究では.先行研究において細胞付着因子として同定したS.pneumoniaeの菌体表層タンパクplasmin- and fibronectin-binding protein A(PfbA)が.好中球に対する抗貪食能において果たす役割を解析した.まず,S.pneumoniae野生株とpftA遺伝子欠失株をヒト末梢血中でそれぞれ培養後,血液寒天培地に播種して,生育コロニー数を計測することで抗貪食能を算定した.その結果.末梢血におけるS.pneumoniae pfbA遺伝子欠失株の生存率は,野生株に対して43%低下した.次に,ヒト末梢血から好中球を分離し,タイムラプス顕微鏡システムにより,好中球がS.pneumoniaeを貪食する過程を経時的に観察した.その結果,好中球と接触したpfbA遺伝子欠失株は,1分間以内に捕獲され,ファゴソームに取り込まれる過程が観察された.一方,野生株では好中球による捕獲像は認められなかった.また,S.pneumoniae野生株とpfbA遺伝子欠失株をそれぞれ好中球と混和し,培養した後に生育コロニー数を計測した結果,pfbA遺伝子欠失株の生存率は50%低下した.さらに.C57BL/6マウスに4×10^8CFUのS.pneumoniaeを経鼻感染させたところ.野生株では感染14日後に生存率が30%であったのに対し,pfbA遺伝子欠失株を感染させた群では60%の生存率を示した.以上の結果から,S.pneumoniaeの菌体表層の付着因子であるPfbAは,好中球の貪食に対する抵抗性も示す多機能タンパクであることが示唆された.
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Research Products
(12 results)