2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子磁束系を中心とした異方的超伝導における動的・静的現象の理論的研究
Project/Area Number |
08J04840
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 佑紀 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子磁束系 / 第二種超伝導 / 物性理論 |
Research Abstract |
第二種超伝導体の超伝導秩序変数の対称性同定を目的とした理論手法の開発を行い、実験結果を理論的に解析した。特に、比熱・熱伝導率の磁場回転測定を解析する理論的手法を開発し、ボロカーバイド超伝導体YNi2B2Cの実験結果を解析した。この理論的手法の開発によって、当初予定していた研究計画を高い水準で達成することができた。この手法の特徴は、直接的数値計算に匹敵する定量性を持つにもかかわらず、従来の簡便な解析手法と同程度のCPU時間で解析が可能であるという点である。この利点を利用して、第一原理計算によるバンド計算の結果を用いて、ボロカーバイド超伝導体YNi2B2Cの超伝導ギャップノードの位置を特定した。また、平成20年に発見された高温超伝導体である鉄砒素系超伝導体に関する理論的研究も行った。鉄砒素系高温超伝導体は世界的に注目を浴びている物質群であり、その超伝導対称性同定はメカニズム解明のために重要である。研究を計画した当時には鉄砒素系超伝導体は発見されていなかったが、その重要性を考え、研究を行った。そして、鉄砒素系超伝導体の有効モデルである5バンド強束縛モデルを用い、NMRによる核磁気緩和率測定と磁場進入長等による超流動密度測定に矛盾のない超伝導ギャップ構造として、「異方的±s波」超伝導を提唱した。
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Research Products
(11 results)