2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷におけるp53依存性アポトーシス誘導機構の解析
Project/Area Number |
08J04893
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平 直江 Tokyo Medical and Dental University, 生命情報科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA損傷 / Apoptosis / 癌抑制遺伝子産物p53 |
Research Abstract |
転写因子p53は癌抑制遺伝子産物として、DNA損傷に応答して細胞周期停止やDNA修復・アポトーシスを引き起こす。p53によって発現誘導される遺伝子群の選択はp53自身の翻訳後修飾によって担われていると考えられており、特に、重篤なDNA損傷を受けた際のアポトーシス関連遺伝子の発現誘導はセリン46のリン酸化が重要であることがよく知られている。近年、当研究室によって同定された新規セリン46キナーゼDYRK2は、DNA損傷に応答して核内へと局在を変え、p53セリン46をリン酸化することでアポトーシスを誘導することが明らかとなった(Taira N et al, 2007)。しかし、細胞内におけるDYRK2のDNA損傷応答機構についてはほとんど明らかになっていない。 そこで本研究課題に於いては、DYRK2の核内移行・活性制御機構に注目し機能解析を進めた。免疫染色法による解析を行った結果、DNA損傷によって引き起こされるDYRK2の核内移行はATMキナーゼによる制御を受けていることを見出した。培養細胞を用いた詳細な機能解析を進めた結果、非ストレス下において核内に存在するDYRK2はユビキチンリガーゼMDM2と結合し、ユビキチン化されることで恒常的な分解を受けていることが明らかとなった。一方で、DNA損傷下においてDYRK2はATMによって2箇所のセリン/スレオニン残基のリン酸化を受け、MDM2と解離することで分解系から回避し、核内において安定的な発現が可能になる事を見出した。同時に、p53セリン46へのリン酸化能について解析を行った結果、ATMによるDYRK2のリン酸化はこのような発現制御だけではなく、キナーゼ活性制御に於いても重要な役割を果たしている事が明らかとなった(Taira N et al, 2010)。
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Research Products
(4 results)