2010 Fiscal Year Annual Research Report
オートクラインループにおける小胞体シャペロンの意義
Project/Area Number |
08J04931
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂元 一真 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オートクライン / シャペロン / 小胞体 |
Research Abstract |
これまでの研究成果によりミッドカイン(MK)とその受容体LRP1が同一細胞上で発現すると、生合成途上で未熟結合を起こしてしまうことを明らかにした。さらに、LRP1特異的小胞体シャペロンであるRAPはこの未熟結合を回避できること、MK-LRP1オートクラインループの形成されているヒト大腸癌臨床検体において、RAPの発現が近傍正常組織と比べ、腫瘍組織において有意に上昇していることを明らかにしてきた。本年度はこの生物学的意義をさらに深く検討するため、ヒト大腸癌細胞株SW620を用いて、RNA干渉法によるRAPの発現抑制実験を行った。SW620細胞においてRAPの発現を抑制すると、MKの細胞内への停留、および細胞外への分泌の低下が観察された。さらにRAPの発現が抑制された細胞では、無血清培地中での生存能が著しく低下した。これらの結果はRAPの発現抑制によって、MK-LRP1の未熟結合が誘導されたことを示唆しており、RAPが未熟結合を回避する鍵分子であることを証明した。これまでの研究成果を論文投稿し、受理された。 さらに現在、培養海馬神経細胞を用いて、MKの新規受容体の同定・新規生物活性の発見を試みている。前年度構築した、AP-MK融合タンパク質を用いて培養2日目・Stage2の初代海馬神経を染色すると、成熟神経細胞のaxon hillock(軸索小丘)に相当する領域が染め出された。軸索小丘は活動電位の発生に重要と考えられており、今後さらに解析を進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)