2008 Fiscal Year Annual Research Report
魚類冷水病菌の宿主特異性決定因子の解明および新型ワクチンの開発
Project/Area Number |
08J04947
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
永田 恵里奈 Kinki University, 農学部, 特別研究員PD
|
Keywords | 魚病細菌 / 冷水病 / Flavobacterium psychrophilum / 宿主特異性 / 病原性 |
Research Abstract |
本年度は、トランスポゾンによって宿主特異性能力を欠損した冷水病菌変異株の作出に取り組んだ。さらに、トランスポゾン変異株ライブラリー作成後のスクリーニングに用いる宿主特異性と関係する表現型の探索にも取り組んだ。 1.宿主特異性を欠損した変異株の作出 トランスポゾンを用いた冷水病菌変異株のライプラリー構築を試みた。しかし、変異株作成には至らなかった。理由として、用いたベクターと冷水病菌が保持しているプラスミドとの不和合性が考えられた。現在、プラスミドを保持していない株の探索およびキュアリングを行っている。 2.病原性に関係するとされる表現型と宿主特異性との関係について 全国の関係機関から分与された冷水病菌株および研究代表者らが分離した冷水病菌株(計264株)を用いて、冷水病菌の病原性に関係すると考えられている表現型と宿主特異性について調べた。調べた表現型は、各種タンパク質分解能(カゼイン、エラスチン、フィブリノーゲンおよびゼラチンなど)、遊走能やバイオフィルム形成能などである。その結果、冷水病菌はその由来にかかわらず、共通の能力として各種タンパク質分解活性を有していたが、これらの能力と分離魚種との間に関係は認められなかった。バイオフィルムを形成する冷水病菌の数は少なく、分離魚種との間に関係は見られなかった。予想外の成果として、遊走能とバイオフィルム形成能はお互いに相反する形質で、同時に発現しないこと、分離年が古い株は遊走能か高く、バイオフィルムを形成しないが、新しい株はその逆であることがわかった。冷水病菌の性質が時間と共に変化していることが示唆された。
|