2009 Fiscal Year Annual Research Report
劣悪環境下での作物増収を目指した活性酸素制御システムの適応
Project/Area Number |
08J04952
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
石橋 勇志 Saga University, 海浜台地生物環境研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 活性酸素 / 環境ストレス / 植物ホルモン / ダイズ |
Research Abstract |
本研究は,活性酸素制御機構を利用することにより環境ストレス下での作物増収を目的とする.初年度の結果から,活性酸素の葉面散布が乾燥ストレスを軽減することが明らかとなった.そこで,今年度はそのメカニズムについて検討を行った.初めに葉の相対含水率と乾物重あたりの含水率を測定した.過酸化水素処理後に乾燥ストレスを与えた葉の相対含水率,乾物重あたりの含水率ともに無処理の葉よりも高かった.この結果から,過酸化水素処理により葉の水分を保持していることが示唆された.同じマメ科作物であるササゲは乾燥を感知すると直ちに気孔を閉鎖し,水分の損出を防ぐ特徴を持っている.そこで,過酸化水素処理後に乾燥ストレスを与えた葉の気孔コンダクタンスと蒸散速度を測定した.その結果,過酸化水素処理した葉の気孔コンダクタンスと蒸散速度は無処理の葉よりも高かった.すなわち,過酸化水素による乾燥ストレス回避は気孔閉鎖によるものではないことが明らかとなった.植物は乾燥ストレスを受けると適合溶質を合成しストレスに耐える機構を持っている.そこで,適合溶質合成関連遺伝子の発現を調査した.その結果,適合溶質の一種であるガラクチノールを合成するガラクチノール合成酵素(Gols)の発現が過酸化水素処理により高く.現在,ガラクチノール含量の測定を試みている.これらの結果から,活性酸素による乾燥ストレス回避は,過酸化水素処理によってあらかじめ適合溶質が合成されることで後の乾燥ストレスに耐えることができると考えられた.また,前年度の結果から,ダイズ種子発芽における活性酸素の役割について研究を行った.ダイズ種子は発芽過程において胚軸で活性酸素を生成し,エチレンを生成することによって発芽を促すことが明らかとなった.今後,更に分子生物学的な解析およびフィールドワークによる生理的な解析により,ダイズ栽培への活性酸素の応用が期待される.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Silicon enhances growth independent of silica deposition in a low-silica rice mutant, Isi12010
Author(s)
Isa, M., Bai, S., Yokoyama, T., Ma, J.F., Ishibashi, Y., Yuasa, T., Iwaya-Inoue, M.
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Journal Title
Plant and Soil (In press)
Peer Reviewed
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[Journal Article] Nutrient starvation differentially regulates GmATG8i in soybean seedlings2009
Author(s)
Nang Myint Phyu Sin Htwe, Tanigawa, H., Ishibashi, Y., Zheng, S.H., Yuasa, T., Iwaya-Inoue, M.
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Journal Title
Plant Biotechnology 26
Pages: 317-326
Peer Reviewed
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