2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04954
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 牧人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子モーター / 一分子計測 / 時系列解析 / ランジュバン系 / ベイズ推定 |
Research Abstract |
化学反応から力学的な運動を取り出している酵素のエネルギー変換機構を解明するには、酵素1分子の化学力学変換を顕微鏡下で可視化し、得られた時系列から酵素のダイナミクスを粗視化したモデルを構築し、そのモデルを用いてエネルギー論を展開する必要がある。近年の顕微鏡技術の進展によって、酵素1分子の動きを観察することは可能になっているが、一般的には大きなプローブを柔らかいリンカーを介して結合させて、その動きを観察している。従って、生体分子の詳細を明らかにするためには、プローブの動きのみから直接観測することの出来ない酵素自身の動きや酵素の物性値を推定しなければならない。前年度に引き続き、この問題に対してベイズ推定の枠組みで取り組み、隠れた自由度を持つ微小系に対するパラメータ推定の一般的な枠組みを確立した。線形のランジュバンモデルを用いて数値実験を行い、その有効性を確認した。一方で内部自由度の緩和時間よりもプローブの緩和時間が長くなるとき、推定結果が急激に不安定になる一種の相転移を初めて見出した(M Miyazaki and T Harada2011a)。これは実験系の設計に役立つ重要な知見である。さらに、摂動論を用いて隠れた自由度の最尤軌道を効率的に探索する手法も確立した。(M Miyazaki and T Harada 2011b)この手法とマルコフ連鎖モンテカルロ法などのサンプリング手法を組み合わせれば、周辺尤度の解析的な計算が難しい非線形モデルの場合でもパラメータ推定を効率的に行えるだろう。
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Research Products
(11 results)