2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジュバントとデリバリーシステムを軸とした感染症に対する粘膜ワクチンの総合研究
Project/Area Number |
08J04966
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
原國 哲也 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | アジュバント / デリバリーシステム / ワクチン / 分子デザイン / コレラトキシン / リガンド分子 / 糖鎖 / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
H21年度は、昨年と同様にサブユニットワクチンに必須のアジュバントとデリバリーシステムの開発に焦点を当て、申請者独自の分子デザイン研究を推進した。特に、昨年開発に成功した(1)蛋白質性アジュバント:三部構成五価免疫賦活複合体(TIPs)の汎用性を検証するため、別のマラリアワクチン候補抗原であるmerozoite surface protein-1の19kDa(MSP1-19)をモデルとして機能解析を進めた。始めに、酵母発現系を用いてネズミマラリア原虫のMSP1-19の発現を試みた。その結果、多量体及び折りたたみ構造の異なると思われる幾つかの単量体が混在する状態で分泌発現されたが、各種クロマトグラフィーの組み合わせにより、ネイティブに近い折りたたみ構造をもつと思われる単量体の精製法を確立した。この抗原を用いて(1)のシステムで検証した結果、TIPs融合型MSP1-19の皮下投与群での生存率は40%(2/5)であったが、現在、臨床で使用可能なアジュバントであるアラムを併用することにより生存率が100%(5/5)と上昇した。ちなみにMSP1-19単独のアラム併用における皮下投与群では、投与群が全て死亡(生存数0/5)した。すなわち、TIPsは薬物運搬体並びにこれを利用したアジュバント及びワクチン分子として優れたシステムであることが分かった。このことより、他の感染症抗原の搭載へ期待が出来る。今後は(2)標的化(狙い撃ち)システムや(3)極限環境耐性分子(高温、高圧、低pH環境等)への応用を模索しており、将来的には粘膜組織特異的なリガンドを用いた粘膜ワクチンへの応用や、食用植物等を用いた「食べるワクチン」開発にも貢献する可能性を秘めていると考えている。(4)感染防御エピトープの挿入法「分子接木」に関する研究は昨年度同様、未だ突破口が見付からないまま苦戦を強いられている。
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Research Products
(14 results)