2008 Fiscal Year Annual Research Report
銀触媒を用いたハロゲン化アルキルを基質とする炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
08J04972
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
染谷 英紀 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銀 / 交差カップリング反応 / ハロゲン化アルキル / グリニャール反応剤 |
Research Abstract |
銀触媒が臭化アルキルとアルキルあるいはアリールグリニャール反応剤の交差カップリング反応に対して効率的な触媒であることを見いだした。この反応を利用することで、通常合成することが難しい有機化合物を簡便に合成することができた。詳細な実験操作としては、アルキルグリニャール反応剤との交差カップリング反応はアルゴンガス雰囲気下で、10モル%の臭化銀とフッ化カリウム存在下-10℃で、基質である臭化アルキルのジエチルエーテル溶液にアルキルグリニャール反応剤を滴下し、その後さらに15時間撹拌するものである。アリールグリニャール反応剤との交差カップリング反応の場合は、10モル%の臭化銀と亜リン酸トリフェニル存在下、臭化アルキルのヘキサン溶液にアリールグリニャール反応剤を滴下し、その後5時間加熱還流条件で撹拌するものである。これらの反応により、対応するアルキル化体およびアリール化体がそれぞれ収率良く生成した。有機金属反応剤とハロゲン化アルキルの両方にβ-水素を有する化合物を遷移金属触媒による交差カップリング反応の基質に用いることは、反応の中間に生じるアルキル遷移金属中間体のβ-水素脱離反応が速いために極めて困難である。これに対し、本反応ではすみやかに交差カップリング反応が進行し、目的とするカップリング体を良好な収率で得られるため、有機合成上有用な反応である。また、交差カップリング反応の触媒として研究例の少ない銀塩を遷移金属触媒として用いる本研究は、近年盛んな研究が行われている交差カップリング反応に対して新しいアプローチを提案しており、大変重要なものである。
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