2009 Fiscal Year Annual Research Report
銀触媒を用いたハロゲン化アルキルを基質とする炭素-炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
08J04972
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
染谷 英紀 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 銀触媒 / 有機リチウム / ハロゲン化アルキル / カップリング反応 / 第四級炭素構築反応 / 炭素ラジカル中間体 / インデン / フルオレン |
Research Abstract |
銀触媒によるハロゲン化アルキルを基質とした反応の適用範囲を広げることを目的として、ハロゲン化アルキルと有機リチウムの反応に対する銀触媒の効果について検討を行った。有機リチウムとハロゲン化アルキルの反応において、第三級ハロゲン化アルキルを用いることは、その立体的かさ高さからこれまで困難であった。これに対し、5モルパーセントの臭化銀存在下、(3-ブロモ-3-メチルブチル)ベンゼンに対し、ジエチルエーテル溶媒中0度で2当量のインデニルリチウムを作用させ、10時間反応させると、目的とするカップリング体が86%の収率で生成した。本反応は基質として鎖状、ならびに環状の第二級臭化アルキルを用いても、加熱還流条件を必要としたが、それぞれ対応するカップリング体が良好な収率で生成した。基質として、シス体とトランス体の比が84対16の4-tert-ブチル-1-メチルシクロヘキシルブロミドを用いると、原料の立体化学は失われ、生成したインデン誘導体はシス体とトランス体の比が35対65の異性体混合物となったことから、本反応では中間体としてsp2炭素中間体が関与していることが示唆された。 さらに、フルオレンにブチルリチウムを作用させて得られる有機リチウムに対しても、触媒量の臭化銀存在下、ハロゲン化アルキルとのカップリング反応が進行し、良好な収率でフルオレンとのカップリング体が生成した。 インデン骨格は遷移金属触媒の配位子や、生理活性物質のなかにも多くみられるため、本反応は近年盛んに研究が行われている遷移金属触媒によるカップリング反応に対する新しいアプローチを提案するものであるとともに、有機合成反応としても大変有用なものである。
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