2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04975
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大橋 万紀 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 活性メチレン化合物 / 光極性付加反応 / photo-NOCAS反応 / 炭素-炭素結合形成反応 / 光誘起電子移動反応 / 炭酸塩 / グリーンケミストリー |
Research Abstract |
光化学的に発生させたラジカルイオン種を制御することにより、温和な条件下で炭素-炭素結合を形成できる、一般的かつ実用的な新しい炭素官能基導入法を開発することを目的として、活性メチレン化合物、および電子受容性芳香族化合物の存在下における電子供与性不飽和化合物の光極性付加反応、およびphoto-NOCAS型三成分カップリング反応について検討し、以下の知見を得た。 (1)光極性付加反応を用いることにより、室温・弱塩基性・含水溶媒という温和な条件下で、活性メチレン化合物を選択的にモノアルキル化することができる。この反応は単に安全・クリーンであるだけでなく、光極性付加反応において求核剤が直接、炭素-炭素結合の形成に寄与した極めて珍しい例でもある。 (2)Photo-NOCAS型三成分カップリング反応を用いることにより、温和な条件下で、活性メチレン化合物に対し、さらに複雑な置換基を一段階で導入できる。この反応は、高価な有機金属触媒や極低温、禁水、脱酸素などの反応条件を用いずに芳香族ニトリルのアリール-シアノ間の結合を活性化し、カップリング反応を進行させることができるため、合成化学的な応用が期待される。 (3)これらの反応において塩基として用いる炭酸塩の対カチオンの種類が、生成物の収率に大きな影響を与える。この原因は、活性メチレン化合物のアニオン種の発生濃度が炭酸塩の溶解度や塩基性度の差によって異なること、および、炭酸塩による中間体ラジカルイオン対の安定化の程度が溶解度や対カチオンのイオン半径によって異なることなどが考えられる。
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