2009 Fiscal Year Annual Research Report
巨大サイズ水和クラスターの赤外分光による大規模溶媒和構造の解明
Project/Area Number |
08J05015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水瀬 賢太 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラスター化学 / 水素結合ネットワーク / 水クラスター / 反応中間体 / レーザー分光 / 溶媒和 / 反応機構 / 物理化学 |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、目的としていた巨大サイズ水クラスターの赤外分光を大きく発展させ、下記のように、1)中性、2)プロトン付加、3)ラジカルカチオン状態の3種の水クラスターについて、その水素結合ネットワーク構造を分子レベルで議論するまでに至った。特に中性の水のネットワーク構造に関する結果は、重要かつ興味深い論文としてJ.Phys.Chem.A誌の表紙論文に採用された(図1)。また、プロトン付加水クラスターの結果は国際学会の招待講演の対象となるなど、注目を浴びた。本研究の成果は、100分子以上の関与する大規模溶媒和構造の分子論的描像をつかむものであり、今後、あらゆる溶液内反応において化学反応を理解・設計する際に、溶媒分子を多量に含めて考えることにつながると期待される。 1)Phenol-(H_2O)_n(~(H_2O)_<n+1>)(n〓~50):水のネットワーク構造が大きくなるにつれ、水素結合のひずみが緩和されていくことを赤外分光によって解明した。 2)H^+(H_2O)_n(n〓200):最大で200分子にもおよぶ大規模水素結合ネットワークが、4配位の水分子を主体に形成されることを解明した。さらに、水のネットワーク構造の結晶化を観測した。 3)(H_2O)_n^+(n〓10):水のイオン化過程の準安定前駆体クラスター(H_2O)_n^+の構造を解明し、ネットワークの中に反応性分子であるOHラジカルの生成を観測した。
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Research Products
(6 results)