2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05024
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
出崎 能丈 Meiji University, 大学院・農学研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | リポ多糖 / LPS / Priming / 防御応答 / MAMPs / エリシター / シナジー効果 |
Research Abstract |
本年度は防御応答の直接的誘導(エリシター活性)およびその潜在能力を高める活性(Priming活性)に必要なリポ多糖(LPS)中の構造要素の明確化およびPriming活性に関する詳細な検討とその分子機構の解析を中心として研究を進めた。構造要素の明確化に関しては、糖鎖構造に変異を持ち構造の明確なLPSを用い、これを構成するLipid Aと糖鎖に加水分解することで、その活性に関わる部位について検討した。その結果LPSの活性は分子中のLipid A部分に由来することを明らかとすることができた。一方、分子機構の解明については、昨年度の段階でPrimingによってジャスモン酸および活性本体であるジャスモン酸イソロイシンの合成が高まることが示されていたことから、まずその詳細な合成パターン解析とジャスモン酸合成変異体を用いた解析を試みた。この結果LPSによるPrimingにはジャスモン酸の合成が直接は関与しないことが示された。さらに同じく昨年度行ったマイクロアレイ解析によってPriming誘導時に顕著な遺伝子発現が誘導されていないことも示されていたことから、LPSによるPrimingは極めて短時間で成立する活性であることが示唆された。そこでLPSとキチンオリゴ糖を同時に処理し、活性を解析したところ前処理と同様の活性が確認され、これまで見られた活性がLPSとキチンオリゴ糖のシナジー効果であることが示された。シナジー効果とか相乗効果のことであり、実際の感染現場において生じている防御応答であると考えられる。しかしこの仕組みはPriming機構以上に明らかとなっていないものであったが、我々の研究はこのシナジー効果の仕組みについて植物ホルモンを介さず、新規の遺伝子発現を必要としない、極短時間の間に生じている現象であることを示すことができた。
|
Research Products
(4 results)