2010 Fiscal Year Annual Research Report
モデル実験による底づけ付加の再現と地層流体の移動特性の解明
Project/Area Number |
08J05034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮川 歩夢 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 付加体 / 底付け / 数シミュレーション / デコルマ / 序列外スラスト / 検層 / ガスハイドレート / 物性変化 |
Research Abstract |
付加体における断層形成と応力分布の動的変化 付加体はプレート収束帯に分布する地質体で、その分布はM8クラスの巨大地震を引き起こす地震発生域と対応することが指摘されている。付加体中には、多数の低角逆断層(スラスト)を含むことが知られており、このような逆断層の存在やその活動性は、地震発生帯である付加体の力学場を理解する上で重要な要素であると考えられる.本研究では数値シミュレーションによって、付加体の成長過程を再現し、付加体内の逆断層の形成・活動過程と応力の関連性について検討した。本研究の結果、付加体の成長過程において、まず堆積層が海溝に近づくにつれて、最大圧縮応力軸は水平方向に反時計回りに傾動し、主応力比は増加する。このような応力状態でフロンタルスラスト(前縁衝上断層)が形成される。しかし、フロンタルスラストの形成および活動に伴って、主応力軸は回転し、主応力比は減少する。その結果フロンタルスラストの活動度は低下する。フロンタルスラストの活動なしでは沈み込みにともなう応力を解消できなくなるので、応力がさらに海側の堆積層内に伝播し、新たな断層の形成に発展する。一方、付加体の内部では、強度の低下している既存の断層面が、主応力比上昇時に再活動する。これにより、付加体内部では固着強度を失った地質の破壊強度(摩擦滑り)を超えた主応力比は維持できないため、比較的等方的な応力状態に保たれる。すなわち、付加体先端域において、フロンタルスラストによって、等方的な応力を有する付加体と異方的な応力状態にある海洋底堆積層とに区分されていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)