2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム解析を基盤とした細胞核及びオルガネラ増殖原理の分子形態学的解明
Project/Area Number |
08J05061
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤原 崇之 Rikkyo University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Cyanidioschyzon merolae / オルガネラ / 細胞周期 / Vacuole / Lysosome / Mitochondria / 分裂 / 分配 |
Research Abstract |
本研究の目的は、シゾンにおける細部周期の遺伝子発現プロファイルを基に、細胞核及びオルガネラの分裂・分配機構に関わる新規の遺伝子の発見・解析を行う事であった。高等なモデル生物のオルガネラ分裂・分配様式はオルガネラが多数存在することから複雑である。そこで、オルガネラが簡単な形状で、最小セットのみ持つ単細胞紅藻シアニディオシゾン(以下シゾン)において研究を遂行した。 シゾン細胞周期の遺伝子発現プロファイル(Fujiwara et al.,DNA Research 2009)、免疫学的方法及び遺伝学的方法を用いて、シゾンで液胞の分配機構に必要なコイルドコイルタンパク質VIG1(Vacuole Inheritance Gene1)を発見、解析した。シゾンの液胞は娘細胞への分配に際して、ミトコンドリアと結合し共に運搬される。この際、VIG1はミトコンドリアへの移動と結合時に液胞の周囲に局在する。そして、VIG1の発現を翻訳阻害剤及び、シゾンにおいて開発されたアンチセンス法で阻害すると、液胞はミトコンドリアと結合出来ず、不均等な分配をおこす。よってVIG1は、液胞のミトコンドリアへの移動と結合において必須な遺伝子であることが判明した。また、この過程においてアクチン、微小管繊維が不必要であることから、新規の液胞の移動形式が考えられる。シゾンでは細胞分裂時にオルガネラどうしが結合し、共に娘細胞に運ばれることが、オルガネラの分配の確実性を高めていると考えられる。高等生物においても、液胞/リソソームはミトコンドリアの近くに多く観察される事があることから、双方のオルガネラが結合と乖離を繰り返し、物質あるいは情報を交換しているのではないかと思われる.高等生物におけるVIG1の機能も解析中である。オルガネラ間の結合に関する分子機構の解析報告は少ないので、VIG1の発見は、オルガネラの機能を考える上で非常に重要な知見である。
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[Journal Article] Periodic gene expression patterns during the highly synchronized cell nucleus and organelle division cycles in the unicellular red alga Cyanidioschyzon merolae2009
Author(s)
Fujiwara T, Misumi O, Tashiro K, Yoshida Y, Nishida K, Yagisawa F, Imamura S, Yoshida M, Mori T, Tanaka K, Kuroiwa H, Kuroiwa T.
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Journal Title
DNA Research 16
Pages: 59-72
Peer Reviewed
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