2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム解析を基盤とした細胞核及びオルガネラ増殖原理の分子形態学的解析
Project/Area Number |
08J05061
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤原 崇之 Rikkyo University, 理学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Cyanidioschyzon merolae / オルガネラ / 細胞周期 / Vacuole / Mitochondria / Lysosome / 分裂 / 分配 |
Research Abstract |
本研究の目的は,シゾンにおける細胞周期の遺伝子発現プロファイルを基に、オルガネラの分裂・分配機構に関わる新規の遺伝子の発見・解析を行う事であった。高等なモデル生物のオルガネラ分裂・分配様式はオルガネラが多数存在することから複雑である。そこで、オルガネラが簡単な形状で、最小セットのみ持つ単細胞紅藻シアニディオシゾン(以下シゾン)において研究を遂行した。シゾン細胞周期の遺伝子発現プロファイルを構築し(Fujiwara et al., DNA Research 2009)、これを基に、今まで明らかにされていなかった液胞の分配機構の分子学的な解析を行った。遺伝子発現プロファイルから、液胞分配の時期に強く発現するコイルドコイルタンパク質を発見し、Vacuole Inheritance Gene 1(VIG1)と名付けた。シゾンの液胞は娘細胞への分配に際して、ミトコンドリアと結合し共に運搬される。この際、VIG1はミトコンドリアへの移動と結合時に液胞の周囲に局在する。VIG1の発現を翻訳阻害剤及び、アンチセンス法で阻害すると、液胞はミトコンドリアと結合出来ず、不均等な分配をおこす。よってVIG1は、液胞のミトコンドリアへの移動と結合において必須な遺伝子であり、液胞が均等に娘細胞に分配させる事に寄与していると考えられた。この過程においてアクチン、微小管繊維が不必要であることから、新規の液胞の移動形式の存在が考えられる。液胞とミトコンドリアの結合に関する分子機構の解析報告は稀有であり、VIG1の発見は、真核生物における共通の液胞分配機構やオルガネラ同士の相互作用を考える上で非常に重要な知見である。これらの成果はプラントセル誌に報告された(Fujiwara et al., 2010)。
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[Journal Article] The Coiled-Coil Protein VIG1 Is Essential for Tethering Vacuoles to Mitochondria during Vacuole Inheritance of Cyanidioschyzon merolae.2010
Author(s)
Fujiwara T, Kuroiwa H, Yagisawa F, Ohnuma M, Yoshida Y, Yoshida M, Nishida K, Misumi O, Watanabe S, Tanaka K, Kuroiwa T.
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Journal Title
The Plant Cell. 16
Pages: 772-781
Peer Reviewed
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