2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重松 明仁 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 配位高分子 / プロトン伝導 / 四面体配位子 / 吸着等温曲線 |
Research Abstract |
本年度は、糖アルコールの一種であるペンタエリトリトール(C(CH_2OH)_4)を原料に、エーテル結合を有した四面体配位子Tetrakis(3-Pyridyloxymethylene)Methane(3-tpm)を合成し、その配位高分子を新規に4つ合成することに成功した。研究の目的は、π共役連動型四面体配位子を用いた結晶性の高い配位高分子を作成し、新規プロトン伝導体を創製することであるが、目的配位子を期待通りに合成することができなかったことと、配位高分子の研究において、そもそも四面体配位子を用いた例は、ほとんど報告されていないので、まず第一歩として、単純にピリジン環が4つ連結した3-tpmに注目し、四面体配位子のCrystal engineering及び、その配位高分子の吸着特性について調査した。合成された4つの配位高分子の構成金属イオンは、それぞれ、塩化銅(II)(1)、硝酸銅、硝酸銀、塩化銅(I)であった。X線結晶構造解析から、各種配位高分子の構造が詳細に明らかにされた。以降は、1のみについて報告する。1は、c軸方向に約8Åと5.5Åほどの一次元細孔が存在する配位高分子であることがわかった。空気中に放置しておくと、すぐに細孔内から水分子が脱着し、非晶質に変化した。さらに、水または、メタノールを添加した場合、結晶性化合物に再び戻った。これは、3-tpm内に存在するエーテル結合が要因であると推察される。また、各種ゲスト分子に対する吸着等温曲線測定の結果、水では、小さなヒステリシスが、メタノールでは、大きなヒステリシスが観測された。この吸着挙動の違いは骨格とゲスト分子の相互作用の違いによるものであり、エーテル結合が大きく起因しているものと考えられる。また、メタノールよりも大きいエタノールでは、ほとんど吸着を示さなかった。これは、分子が大きいため吸着できたなかったと推察される。これらの成果は、四面体配位子を用いた場合のCrystal engineeringを明らかにしており、これからの配位高分子のプロトン伝導体の探索において重要になってくるものと考えられる。
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Research Products
(8 results)