2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンシャペロンおよびその複合体のX線結晶構造解析
Project/Area Number |
08J05113
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤井 祐介 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ヒストンシャペロン / 転写 / ヌクレオソーム / クロマチン |
Research Abstract |
本研究では、転写開始点におけるヌクレオソーム構造変換機構を明らかにするため、X線結晶構造解析の手法を用いて、アセチル化ヒストンを特異的に認識するダブルブロモドメイン(DBD)とヌクレオソーム構造変換因子であるCIAによる複合体の立体構造を決定した。さらに、in vitroによる生化学的解析とin vivoによる遺伝学的解析を合わせて、詳細なヌクレオソーム構造変換の分子機構の解明に取り組んだ。 結晶構造解析の結果、1分子のDBDに対して2分子のCIAが相互作用していることを見出した。そこで、溶液中におけるCIA-DBD複合体の化学量論比を明らかにするため、GSTプルダウンアッセイ、等温滴定カロリメトリー、分析超遠心による相互作用解析を行った。その結果、DBDに対するCIAの高親和性サイトを決定し、溶液中において濃度依存的に1:1および2:1のCIA-DBD複合体を形成することを明らかにした。さらに、出芽酵母株を用いたin vivo解析の結果から、CIA-DBD複合体がACT1遺伝子プロモーター領域に局在すること、CIA-DBD間の相互作用が細胞内において機能的であることを明らかにした。また、CIAとDBDの相互作用表面が、CIA-ヒストンH3-H4の相互作用表面と重複することから、CIAに対してDBDとヒストンが競合的に相互作用することが予想された。そこで、CIA-DBD複合体に対して、ヒストンH3-H4複合体を添加した競合実験の結果、ヒストンH3-H4によってCIA-DBD間の結合が破壊されることが示された。以上の結果から、「DBDとの相互作用を介してプロモーター上にリクルートされたCIAが、その後、ヒストンH3-H4と相互作用し、ヌクレオソーム構造を破壊することで遺伝子発現が制御される」という分子機構モデルを提唱する。
|
Research Products
(4 results)