2010 Fiscal Year Annual Research Report
テクスチャ知覚における触覚・聴覚間相互作用および感覚間統合処理メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J05117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 結花 東北大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触覚 / 聴覚 / 感覚間相互作用 / テクスチャ / 粗さ |
Research Abstract |
特別研究員採用時より進めてきた研究により、物体の表面に感じられる粗さ感が、接触により生起する音や複合音を聴取することで変容すること、また、この聴触覚間相互作用には感覚強度の一致性が関わることを明らかにしてきた。本年度は、表面の粗さ知覚に関する聴触覚間相互作用の特性について、とりわけ、触覚情報の提示部位や聴覚情報の距離および感覚情報の空間的一致性の要因について検討した成果を国際会議で発表し、現在、論文を海外ジャーナルに投稿中である。また、感覚統合処理に関わる空間的要因を明らかにする上で、触覚単独モダリティの粗さ知覚における空間的要因について検討した。表裏二面から成る対象を、観察者の頭部に対して内側と外側となるように親指と人差し指で挟み、粗さ判断を行った。その結果、観察者の頭部に対して内側にある面の情報が優位となって粗さが知覚されることが明らかになった。この知見は、表面の粗さに関わる聴触覚間相互作用が触覚刺激の提示部位(頬・手)に依存し、頬における粗さ知覚の感度が聴覚情報によって変容することを示した研究成果と関連する可能性を示唆するものである。さらに、物体表面をなぞって粗さを知覚するときには、対象と皮膚との間に相対的な運動が伴うことに注目し、触覚的な運動に聴覚情報が影響を及ぼす可能性について検討した。触覚仮現運動刺激の提示中に、時間ずれを加えて聴覚刺激を提示し、運動方向の判断課題を行った結果、2Hz以下の周期の運動であれば、聴覚情報を提示するタイミングによって触覚の運動方向の知覚を変容し得ることを明らかにした。この知見は、表面の粗さ知覚における触覚と聴覚の相互作用においても、触運動と聴覚情報のタイミングおよび運動の周期が感覚統合の要因となり得る可能性を示唆するものである。
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Research Products
(6 results)