2008 Fiscal Year Annual Research Report
テクスチャ知覚における触覚・聴覚間相互作用および感覚間統合処理メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J05117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 結花 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触覚 / 聴覚 / 感覚間相互作用 / テクスチャ / 粗さ |
Research Abstract |
物体表面を指でなぞるときに聴覚情報が提示されると,表面テクスチャの触覚的粗さが変化する。このときの聴覚情報は,刺激に接触した際に生じる音のみでなく,接触音と同様に広域にわたる周波数成分を含むホワイトノイズであっても触知覚へ影響をおよぼすことが報告されている。本研究では,触覚刺激の粒子の大きさが,聴覚情報によるクロスモーダルな影響に関与するかどうかを調べた。その結果、粗い研磨紙においてホワイトノイズはより粗い方向に触知覚を変化させたが,滑らかな研磨紙では聴覚刺激の影響がみられないという実験結果を得た。 この結果から,モダリティ間における粗さ情報の一致性の影響を反映している可能性が考えられたため,次の研究では,触覚刺激の粒子の大きさと聴覚刺激の強度の両者を操作し,テクスチャの粗さに関する触覚・聴覚間相互作用の生起およびその方向性との関連について検討を行った。刺激構成粒子径の異なる触覚刺激を用いて粗さの弁別課題を行い,手の運動に同期して聴覚刺激が提示されるときに,聴覚・触覚間の粗さ情報の一致・不一致が聴覚情報の効果におよぼす影響を調べた。その結果,粒子の粗いテクスチャは,粗さの情報が一致する大きい音圧のノイズが提示されるときにより粗く感じ,微細テクスチャは,粗さ情報が一致する小さい音圧のノイズが提示されるときにより滑らかに感じることが明らかになった。これらの結果は,触覚と聴覚における粗さの情報が一致しているときに感覚統合が生じやすく,また,両モダリティ情報に含まれる特徴をより増幅する方向に重みづけがなされる可能性を示唆する。この研究は基礎心理学会第27回大会で優秀発表賞を受賞した。
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Research Products
(7 results)