2009 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体/半導体ハイブリッド構造を用いたスピシホール効果の電気的検出と制御
Project/Area Number |
08J05145
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮脇 哲也 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 半導体スピントロニクス / スピン注入 / L10-FePt薄膜 / スピンホール効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、半導体スピントロニクスの基盤となる3つの要素技術である(1)スピン生成、(2)スピン検出、(3)スピン操作を確立するとともに、それらを統合したスピン機能デバイスの創製を目指すことである。本年度は、FePt/MgO/GaAs構造のデバイスを用いて、非局所スピンバルブ効果およびスピンホール効果の測定を行った。様々なバイアス電圧において測定した非局所ホール電圧の外部磁場依存性は、ゼロ磁場で最大または最小となる、偶関数的な変化を示した。一方、スピン注入およびスピンホール効果による電圧変化は、FePt薄膜の磁化方向に依存するため、FePtの磁化曲線と同じような奇関数的な変化を示すと予想される。したがって、今回観測されたホール電圧は、スピンホール効果によるものではない可能性が高い。その原因として、(1)スピン注入率が低い、(2)スピンホール伝導度が低い、などが考えられる。 今回、膜面垂直方向に磁化した強磁性体電極を用いたスピンホール効果の電気的観測という高い目標を掲げて研究を行ってきた。その結果、スピンホール効果の観測には至らなかったが、GaAs基板上への面直磁化FePt薄膜の成長に初めて成功し、デバイスの微細加工技術を確立することができた。今後は、スピン注入率の向上などによってスピンホール効果の観測が可能になると期待される。
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Research Products
(3 results)