2008 Fiscal Year Annual Research Report
素子のダイナミクスとネットワーク構造の動的関係性と機能発現
Project/Area Number |
08J05147
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 高明 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 位相振動子 / 学習 / ネットワーク / 同期現象 / 協同現象の数理 / 脳・神経系 / 自己組織化 / 力学系 |
Research Abstract |
従来より自然界にみられる集団現象は動的素子の結合系として捉えることで解析がなされてきた。現在も神経ネットワークや社会ネットワークなどに対し、その概念は広く適用されている。しかしながら神経系におけるシナプス結合を代表として、自然界に見られるネットワーク構造は可塑性を有し、素子活動に応じて結合構造が適応的に変化する性質を持つ。すなわち、ネットワーク構造が素子の活動に影響を与える一方、素子の活動も同様にネットワーク構造に対して影響を与える。このような素子のダイナミクスとネットフーク構造の動的関係性は、ネットワーク構造の形成や外界適応性等と深く関係していると考えられている。しかしながら、素子集団のダイナミクスと結合構造の変化が相互作用するために、一般にシステムの挙動が予測しがたい。本研究では、システムの基礎的理解を進めるため、動的素子のdynamicsとしてlimit cycle解に焦点を当て、結合変化を伴う位相振動子ネットワークの数理モデルを導入した。第一歩として周期関数である結合関数がfirst Fourier modeのみから成る場合について解析を行った。結果として系は3タイプの典型的状態をともことが分かった(2クラスタ状態、コヒーレント状態、カオス状態)。さらに情報論的立場から各状態の機能性を議論した結果、2グラスタ状態、コヒーレント状態がそれぞれバイナリデータや位相情報を保持するメモリーとしての機能性を有することを確認した。本研究が提案する位相振動子ネットワークの数理モデルはとても簡潔な力学系でありながらも、ネットワーク結合の適応変化を有する生態・社会システムの集団現象を研究するためのフレームワークとして有益と考えられる。
|
Research Products
(10 results)