2009 Fiscal Year Annual Research Report
素子のダイナミクスとネットワーク構造の動的関係性と機能発現
Project/Area Number |
08J05147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 高明 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 位相振動子 / ネットワークダイナミクス / 自己組織化 / 結合力学系 |
Research Abstract |
自然界に見られるネットワーク構造は可塑性を有し、状況に応じて適応的に変化する性質を持つ。このような結合の可塑性は生物・社会システムに見られる自律機能や適応能力と深く関係していると考えられている。しかし、可塑的結合を持つシステムがいかなる性質を持ち,どのようにネットワーク構造形成と関わっているか、未解明な点が多い。そこで本研究課題では、可塑的なネットワーク構造をもつ位相振動子系に焦点を当て、その力学系として性質を明らかにすることを目指した。特に今年度は、位相変数を持つ「群れ」の集団運動による、2次元上のネットワーク構造形成と、その環境に応じた適応的な構造変化に注目して研究を行った。位相状態に応じて移動する剛体球集団の単純な力学モデルを導入し解析することで、"群れ"の形態として4つの安定状態が存在することが分かった。それぞれの形態は、全体がコロニーを作る集合状態、樹状に群れが広がる探索状態、多数のクラスタに分割される状態、個々の素子が拡散的に広がる状態である。また外部環境に依存して各振動子の振動数が変化することで、コロニーを作る集合状態と樹状に広がる探索状態との二状態間で、適応的にネットワーク形状を組み替えることがわかった。この結果は、集団を作る生物種の群れの形態や、自律的な群れロボットの適応制御を考える上で興味深い。今後は特に、粘菌の形態パターンとの対応を考察し、ネットワーク構造の適応的な形態変化のメカニズムを解明していきたい。
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Research Products
(9 results)