2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAによるフィードバックを介した遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
08J05169
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邊 由香 Keio University, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | microRNA / 細胞周期 / 翻訳後調節 / フィードバック制御 / 遺伝子発現制御 / トランスクリプトーム解析 |
Research Abstract |
MicroRNA(miRNA)は,messenger RNA(mRNA)に結合することによりタンパク質生成を制御するなどの機能がこれまでに報告されている.miRNAによる遺伝子発現制御は,発生時期および組織特異的な例が多く知られていることなどからも,それが複雑な機構により維持および調節されていることが想像されるが,その大部分に関しては未だ不明である.本研究は,実験生物学および情報学的手法を組み合わせ,miRNAによる遺伝子発現制御機構が細胞周期に応じてどのように機能するかを明らかにすることを目的とする.細胞周期は腫瘍形成をはじめとする疾患への関与が知られており,その重要性が示唆されている.また,細胞周期に関与する遺伝子の多くがmiRNAによる制御を受けることから,両者に密接な関連が想像される.まず,細胞周期停止時および活性時におけるmiRNAの発現量を網羅的に測定し比較したところ,細胞周期停止時にmiRNAの発現量が大きく低下することが明らかとなった.この原因を探るべく,miRNAの機能に関与するタンパク質の発現量を解析したところ,miRNAの核外輸送を担うタンパク質であるExportin-5(Exp5)の発現量が細胞周期停止時特異的に大きく減少することが明らかになった.さらに,インヒビターを用いた実験によりExp5の発現量の低下の原因を探ったところ,これがPI3Kパスウェイによる制御を受けている可能性が示された.以上の結果より,Exp5の発現量の低下を介して細胞周期特異的にmiRNAの発現量が調節されており,これが細胞周期停止時に低下する遺伝子群に対してフィードバック制御を行っているという仮説を提唱し,この解明に向けて解析を行っている.
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Research Products
(1 results)