2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAによるフィードバックを介した遺伝子発現制御機構の解明
Project/Area Number |
08J05169
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邊 由香 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | microRNA / 細胞周期 / 転写後調 / フィードバック制御 / オミクス解析 / 遺伝子発現静御 / 核外輸送 / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
組織および時期特異的な遺伝子発現制御を担うmicroRNA(miRNA)に関しては,細胞周期の分子制御においてもその重要性が明らかになりつつある,これまでに複数の細胞周期制御遺伝子が特定のmiRNAの標的となることや,細胞周期特異的なmiRNAの発現変動が観察されることなどが報告されている.本研究では,細胞周期進入時におけるmiRNA,トランスクリプトームおよびプロテオームの変動パターンを網羅的に測定・解析することで,劇的な遺伝子発現変動に及ぼすmiRNA群の分子作用をシステムレベルで検討する.リアルタイムPCRアレイを用いてマウス線維芽細胞の細胞周期静止期および再進入時におけるmiRNAの発現パターンを比較したところ,miR-20aやmiR-17といった細胞周期に関与するとされるmiRNAを含む多数のmiRNAの発現量が変動し,その多くは発現レベルの上昇を呈した,この現象の因子としてmiRNAの核外輸送を担うExportin-5(XPO5)のPI3K経路を介した発現制御を同定した.さらに,細胞周期進入時におけるXPO5の発現上昇の分子・生物学的意義を検討するため,XPO5をRNAiにてノックダウンし,この条件下でのトランスクリプトームおよびプロテオームデータを解析した.結果,XPO5のノックダウンにより多数のmiRNAの発現量が抑制されると同時に,細胞周期および細胞増殖に関与する遺伝子群の発現パターンが有意に変動した,遺伝子発現解析に平行して細胞増殖を観察したところ,増殖の阻害が確認された.これらの結果から,細胞周期進入時の遺伝子発現パターンの動的かつ精緻な制御機構にXPO5を介したmiRNAの発現量の変動が広範に作用し,細胞増殖に影響を与える可能性が示唆された.
|
Research Products
(1 results)