2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p53クロマチン複合体を構成する分子群の同定とその機能解析
Project/Area Number |
08J05189
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 直子 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 発現制御 / クロマチン / 転写因子 |
Research Abstract |
p53欠失細胞株が存在するヒト大腸癌細胞株HCT116細胞を用い、種々の薬剤によるDNA傷害を細胞に与え、Western blotting、RT-PCR、FACS解析によりp53と下流遺伝子の発現変化、アポトーシス誘導を検討した。その結果、p53の活性化とそれに続く下流遺伝子の発現誘導が認められ、異なる細胞応答がp53依存的に引き起こされた。 次に、上述のモデルでSp110のsiRNAを行い、p53転写活性化能に及ぼす影響を検討した。Sp110をサイレンシングした上でDNA傷害を与え、p53およびいくつかの下流遺伝子の発現変化を検討した結果、p53の発現量にはほとんど影響を与えなかったが、PIG3の発現が抑制され、Sp110がp53転写活性化能の調節に関与することが示された。同時にFACS解析でアポトーシス誘導への影響を検討したところ、逆にSp110のサイレンシングにより、p53依存性の細胞死は増強した。 一方、siRNAの問題点として、リポフェクション法による細胞毒性や遺伝子のノックダウン効率の安定性の不十分さにより、データ評価と解釈に課題が残った。そこで導入効率とノックダウン効率をあげるため、shRNA-Lentivirusを作成しその効果を検討している。今後は下流遺伝子の中でもどの分子がより強く影響されるかを調べ、p53シグナルの調節因子としての機能を明らかにしたい。 Sp110がp53クロマチン複合体のコンポーネントであることの確認については、Sp110のcoding sequenceをPCR法を用いてクローニングして発現ベクターを作成し、H1299細胞にトランスフェクションした。さらにp53を過剰発現させIP westernを行い、Sp110がコンポーネントの一部であることを確認した。今後は内因性にSp110を発現した系でも複合体形成を確認する予定である。
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Research Products
(4 results)