2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p53クロマチン複合体を構成する分子群の同定とその機能解析
Project/Area Number |
08J05189
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 直子 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 発現制御 / クロマチン / 転写因子 / 細胞老化 |
Research Abstract |
まず、Sp110がp53クロマチンと複合体を形成することを確認するため、ヒト線維芽細胞を用いて免疫染色およびconfocal顕微鏡による解析を行った。Sp110は核内にドット状に分布し、一部p53と共局在が認められ、クロマチン複合体のコンポーネントであることが示唆された。 次に、細胞老化誘導におけるSp110の役割を検討した。ヒト線維芽細胞株を用い、Sp110をサイレンシングした際、細胞老化に及ぼす影響を検討した。Sp110のノックダウンにより、細胞増殖抑制とSA-βga1染色、senescence-associated heterochromatin foci(SAHF)形成による細胞老化誘導が認められた。その時の老化シグナルを解析すると、Sp110サイレンシングにより、p53、p21/CDKN1Aの発現誘導とRbの脱リン酸化が観察された。また、Sp110とp53を同時にノックダウンすると、細胞老化誘導はrestoreされ、Sp110サイレンシングによる細胞老化誘導がp53依存的であることが示された。Sp110はヒストンのアセチル化やメチル化の部位を特異的に認識するBromodomainやPHD zinc finger dominを有している。そこで次に、細胞老化に伴うp21プロモーター領域のヒストン修飾動態をChIP assayにより検討した。ヒト線維芽細胞を用いて、コントロールとSp110をサイレンシングした老化細胞を比較すると、p53結合領域やTATA boxにおいて、後者ではH3K4me3やAcH3の上昇が認められた。以上よりSp110は、ヒストン修飾を介して、p53の転写調節に影響を与え、細胞老化を調節する可能性が考えられた。
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Research Products
(11 results)