2008 Fiscal Year Annual Research Report
侵入思考への認知的対処プロセスが強迫観念に及ぼす影響
Project/Area Number |
08J05193
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
今井 正司 Waseda University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | attention training / obsession / cognitive strategy / neuro-behavior therapy / システム機能分析 / 注意制御機能 / 認知情報処理 / メタ認知 |
Research Abstract |
平成20年度における研究の目的は、強迫観念の認知メカニズムについて、従来の臨床心理的知見を参考にしながら、「神経心理学」と「情報処理心理学」の観点から検討することであった。具体的には、能動的注意制御機能を測定するツール(注意制御機能尺度・両耳分離聴課題)と認知的対処機能を測定するツール(認知的対処尺度)・分析方法(システム機能分析)を開発し、能動的注意制御機能と認知的対処機能が強迫観念傾向に及ぼす影響について検討した。大学生を対象とした複数の調査・実験・介入の結果から、「能動的注意制御の促進」と「反証型認知的対処に基づいた問題解決的対処の促進」は、強迫観念傾向を軽減させることを明らかにした。また、認知対処(処理)の変容を促す介入法(認知療法)を行う前に能動的注意制御機能を促す介入法(Attention Trainine:注意訓練)を事前に行うことは、各単独の介入法における低減効果よりも著功を示すことが明らかとなった。以上の結果から、神経心理学的な介入アプローチと認知情報処理的な介入アプローチの融合は、介入効果を高める方法として有用であることが実証的に示された。強迫観念傾向においては、著効な介入法が少ない現状を考えると、これらの研究結果における臨床的意義は大きい。また、これらの一連の研究の中で開発された測定ツールや分析方法は、他の精神的健康に関する問題においても活用が期待できる。
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Research Products
(23 results)