2009 Fiscal Year Annual Research Report
ICJ管轄権の限界に関する研究―先決的抗弁手続と裁判所の司法政策の分析―
Project/Area Number |
08J05196
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
石塚 智佐 Hitotsubashi University, 大学院・法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際司法裁判所(ICJ) / 管轄権 / 先決的抗弁 / 司法政策 / 裁判条約 / 常設国際司法裁判所(PCIJ) / ボゴタ規約 / 選択条項受諾宣言 |
Research Abstract |
平成21年度は、裁判所が当事国の同意を具体的にどのように判断しているか、管轄権の基礎となる文書(同意の表明形態)ごとにより詳細な分析を重ねた。 まず、一般的裁判条約である国際紛争平和的処理一般議定書と、近年利用されるようになった2つの地域的裁判条約(ボゴタ規約、1957年欧州条約)の計3つの多数国間裁判条約に関する研究を行った。そのうえで、最近多用されているにもかかわらず、その規定内容が曖昧であるために解釈が分かれていたボゴタ規約を検討対象の中心とした、「ボゴタ規約にもとづく国際司法裁判所の管轄権」という題目で投稿論文を仕上げた(2010年7月発行予定)。 また、ICJ独自の選択条項制度自体の研究も行った。国家がICJの強制管轄権を受諾することを表明する選択条項制度の検討も、国家側のICJに対する訴訟戦略とICJの司法政策を研究する上では重要であると考えるからである。選択条項受諾宣言の研究は古くから行われているが、現代においてどのような用いられ方をしているのか、宣言国の留保の内容や具体的事件における抗弁の内容を分析して、その意義と現代国際社会における有益な利用方法を再考することに努めた。 最後に,国際裁判研究の知見を広げるために,オランダ・ハーグに所在するICJへの裁判傍聴およびICJ併設の平和宮図書館における資料収集も行った。その際、ICJを担当とする日本大使館の関係者の話を聞くなど、国際裁判の現実に接することで、自らの問題意識をより明確なものにし、研究内容に現実性を加味することができた。
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