2008 Fiscal Year Annual Research Report
因果関係発見に基づく共同注意行動創発によるコミュニケーション発達モデル
Project/Area Number |
08J05227
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
住岡 英信 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共同注意 / 因果関係発見 / 随伴性学習 / 認知発達ロボティクス |
Research Abstract |
本年度は計画書通り,相手の視線や指差しを追従するといった応答的共同注意(RJA)と視線や指差しによって自身の注目している対象へ相手の視線を誘導する行動である誘導的共同注意(IJA)を獲得可能な発達モデルの構築に取り組んだ.そのためにまず相手とのやりとりの因果関係を情報量の一つである移動エントロピーによって発見できるかを調査した.その結果,対面でのやりとりにおいて視線追従行動を獲得することのできる因果関係をロボットが自律的に発見できることがわかった.次に発見した因果関係に基づいて行動を獲得するメカニズムを追加し,やりとりの因果関係を発見するだけでなくその関係を学習して行動を獲得するメカニズムを提案した.このメカニズムによりやりとりの因果関係の発見とそれに基づいた行動獲得を繰り返すことで,相手の視線を追従する行動だけでなく相手へと振り返る行動も逐次的に獲得することを確認した.その結果,ロボットはRJAの1つである視線追従だけでなくIJAに属する単純な行動である相手と物を交互に見る行動を示した.この行動獲得の順番はヒトの乳児の発達過程と類似していた. 以上より,今年度の成果は次のようにまとめることができる. RJAからIJAへの発達モデルの構築に取り組んだ.実験結果から提案メカニズムによってその目的をある程度達成できたことがわかった.また得られた行動獲得の順番が乳児の発達と類似しているという結果はヒトの乳児の発達メカニズムについての新たな理解に繋がる可能性があり非常に有意義であった.
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Research Products
(5 results)