2008 Fiscal Year Annual Research Report
環境・行動情報に基づくジュゴンの経時的コアエリアマップの作成及び混獲回避策の提言
Project/Area Number |
08J05260
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 光太郎 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ジュゴン / Iδインデックス / 来遊周期 / 鳴き返し |
Research Abstract |
ジュゴンの空間的分布状況を調査した。タイ国トラン県のタリボン島周辺海域において、水中音モニタリング用ハイドロホンを曳航し、ジュゴンの鳴音を収録した。同時に標準的な目視調査を行った。音響検出位置及び目視検出位置の空間分布の分布様式を、Iδインデックスを用いて評価した。Iδインデックスは分布の集中度を指数化したもので、その値が1より大きければ集中分布、1なら一様分布、1より小さければランダム分布である。音響検出と目視検出の分布に関するIδインデックスはそれぞれ3.53(p>0.01)と0.97(p>0.05)であった。すなわち、ジュゴンは調査線上にほぼ一様に近い状態でランダムに分布していたが、鳴音を発する海域は特定海域に限定されることが分かった。頻繁な発声が認められる海域は、海草場の周辺に存在する砂地に認められた。 ジュゴンの摂餌場への来遊周期を調査した。タイ国トラン県タリボン島周辺の干潟の海草藻場において音響観察を実施し、摂餌音を録音した。延べ1446時間の音響データが得られた。ジュゴンの来遊時刻は満潮時刻の2時間前にピークを示し、上げ潮時に有意に偏っていた(p<0.001)。タリボン島周辺海域に生息するジュゴンは上げ潮時に摂餌場へ来遊することが示唆された。 ジュゴンの鳴音を用いた情報伝達に関する調査の結果、ジュゴンは他個体の鳴音に対して鳴き返しを行い、個体間の距離に応じて鳴き返しの鳴音の長さを変化させていることが分かった。このことから、ジュゴンの個体間で個体間距離の情報が伝達されている可能性がある。 上記の結果を投稿論文として執筆・投稿した。
|
Research Products
(4 results)