2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答性MAPキナーゼ系の肝再生における機能解析
Project/Area Number |
08J05261
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
畠 星治 Tokyo Medical and Dental University, 生命情報科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストレス / MAPキナーゼ / SAPK / JNK / 肝形成 / 胎生致死 / 遺伝子破壊 / Cre-loxP |
Research Abstract |
申請者の所属する研究室では、ストレス応答性のMAPキナーゼシグナル伝達系であるSAPK/JNK系の生理的役割を明らかにする目的で、本シグナル系を正に制御する2種類の活性化因子SEK1/MKK4とMKK7のノックアウトマウスを作出し、ともに肝形成不全を伴う胎生致死となることを報告してきた。胎仔肝に存在する肝幹細胞である肝芽細胞のSAPK/JNKの活性化が著しく低下していること、増殖能が低下していること、アポト-シスが亢進していること、G2/M細胞周期制御因子CDC2のmRNA発現が低下していることを見出した。また最近の国内外の研究から、JNKシグナル系は生命維持に必須の役割を果たしており、発生、細胞死、老化などの基本生命現象に加え、癌やII型糖尿病等の病態発症を理解する上での重要な尺度と考えられている。しかしながら、これらノックアウトマウスはいずれも胎生致死となることから、成体マウスにおけるSAPK/JNK系の生理的な役割は不明のままである。本研究では、Cre-loxPシステムを利用したSEK1およびMKK7の条件付きノックアウトマウスを用いて、"肝再生"を含む成体におけるSAPK/JNK系の機能の解明を目的とする。これまでにMKK7遺伝子を条件付きで破壊可能なマウスが作出され、成長遅延や肝臓を含む各種器官の重量の減少を観察している。興味深いことに、脳では逆にサイズが増していることを見出した。成体の神経機能におけるSAPK/JNK系の新たな意義を見出せるのではないかと期待している。
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