2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛におけるIFN-γを介したミクログリアの活性化機構
Project/Area Number |
08J05285
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 隆博 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経因性疼痛 / ミクログリア / インターフェロンγ |
Research Abstract |
神経因性疼痛特異的ミクログリア内遺伝子群の特定について 1.ミクログリアの活性化に対するLynチロシンキナーゼの関与 生化学的検討および組織学的検討により、IFN-_Y髄腔内投与によって、脊髄内ミクログリア特異的にLynチロシンキナーゼの発現増加及び活性化が引き起こされることを明らかにした。さらに、野生型マウスで観察されるIFN-_Y誘発性のミクログリアの活性化は、Lyn欠損マウスでは有意に抑制された。また、これらマウスにおけるアロディニア状態を測定したところ、野生型マウスでは、IFN-_Y投与後強力なアロディニア症状を呈したのに対し、Lyn欠損マウスではアロディニア症状が劇的に改善された。また、末梢神経損傷モデル動物を用いて検討を行ったところ、Lyn欠損マウスにおいては、野生型マウスに比較し、末梢神経損傷後に観察される脊髄後角ミクログリアの活性化は有意に抑制された。 2.ミクログリアの活性化及びアロディニア発症におけるP2X_4受容体の関与 同様の検討により、IFN-_Y髄腔内投与によって脊髄内でミクログリア特異的にP2X_4受容体の発現増加が引き起こされた。さらに、興味深いことに、P2X_4受容体欠損マウスにIFN-_Yを髄腔内投与したところ、野生型マウスに比べ、アロディニア症状の有意な改善が観察されたにも関わらず、ミクログリアの活性化は抑制されなかった。 以上のことから、IFN-_Yによるミクログリアの活性化にはLynチロシンキナーゼが重要な役割を持ち、その後のアロディニア発症にはLynチロシンキナーゼ及びP2X_4受容体が重要な役割を果たすことが明らかになった。 本研究は、初めて神経因性疼痛におけるIFN-_Yとミクログリア活性化との関与、更には特異的細胞内関連分子を明らかにしたという点で非常に重要な研究であり、神経因性疼痛の全容解明に向け、大きく前進することが期待される。
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Research Products
(6 results)