2009 Fiscal Year Annual Research Report
海馬から大脳皮質への記憶固定における情報コーディングの解明
Project/Area Number |
08J05292
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 康治郎 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 記憶固定 / 海馬 / 多細胞同時記録 / システム神経科学 / 実験心理学 / ラット |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、記憶形成のプロセスと神経活動の相関関係を明確にするための洗練されたラット用の行動課題の開発と海馬と大脳皮質のニューロン活動の大規模同時記録を可能とするための実験システムを構築した。 まず行動課題について、海馬が関与している事が先行研究で報告されている条件性連合課題をラット用に適用した遅延条件性音-位置連合記憶課題(delayed conditional tone-position association task)を開発した。この課題はラットに音の高低と反応する穴の位置の連合学習を要求するものであり、この行動課題には刺激の知覚や短期記憶の期間、弁別の期間などとの神経相関を明確に定義できるという利点があり、この課題の学習と海馬や大脳皮質の神経活動の可塑性との関連性について明らかにできるものと期待される。 海馬と大脳皮質のニューロン活動の記録をする実験システムについて、個々の電極を独立に操作可能なマイクロドライブ(電極のマニュピレータ)の改良を行った。まず個々の電極の位置を微細に調節して記録可能なニューロン数を増やすために、14本のテトロード電極(記録電極12本、基準電極2本)を独立に操作可能なマイクロドライブを作製した。また、海馬と大脳皮質からのニューロン活動の同時記録を可能とするために、前述したマイクロドライブを更に改良し、海馬と前頭前野に記録電極を同時に埋め、個々の電極を独立して操作可能なマイクロドライブを開発した。これらのマイクロドライブは条件によっては数日間にわたり同一のニューロンの活動を記録することが可能であることが分かった。これら二つの実験技術を応用することにより、記憶形成のプロセスと神経活動の間の関係性を明らかにすることにより、記憶のメカニズムの一端を解明することができると思われる。
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