2009 Fiscal Year Annual Research Report
マレーシア・ムスリム社会におけるイスラーム知識の伝達に関する人類学的考察
Project/Area Number |
08J05350
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
久志本 裕子 Tokyo University of Foreign Studies, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ムスリム社会 / イスラーム知識伝達 / マレーシア / イスラーム教育 / 近代学校教育 / マドラサ / キターブ・ジャウィ / 近代化 |
Research Abstract |
今年度の研究成果は、以下の三点に要約できる。1)クアラルンプール周辺のインフォーマル・イスラーム学習機関に関する情報収集と分析2)イスラーム教育に使用される教科書の収集3)イスラーム教育の近代化に関わる歴史資料の収集。1)は昨年度の課題を引き継いでいるが、今年度は新たにクアラルンプール郊外に存在するイスラーム団体系学校を集中的に調査した。この学校は、公的試験に備えるカリキュラムを持たずに宗教教育のみを行い、学校教育制度の外に存在する。しかし、イスラーム的向上のみを求めるこのような学校に子どもを通わせる親の多くが、アメリカに留学し大企業に勤めるなど、高学歴・高所得であることが明らかになり、イスラーム教育と近代学校教育の関係を考察する上で興味深い事例であることが明らかになった。2)に関しては、昨年度に引き続き、公立学校等現代の学校に集中して資料収集を継続した。3)に関して、20世紀初頭の伝統的教育を受けたウラマーと改革主義的イスラーム指導者がどのように新しい時代の「近代的イスラーム学校」を構想したのかを明らかにするため、前者の見解が伺える唯一の雑誌『プンガソ』を国立公文書館、大学図書館等で収集し、後者に関連して雑誌『アル=イマーム』全巻を収集したほか、近代的イスラーム学校の創立に関与した数人の代表者の経歴に関する図書、資料を収集した。
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Research Products
(3 results)