2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス吸着タンパク質を用いた環境中からの病原ウイルス濃縮・検出技術の開発
Project/Area Number |
08J05366
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 崇博 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウイルス吸着タンパク質 / 病原ウイルス / VBP固定化 / ELISA / ブロッキング / カゼイン |
Research Abstract |
本年度はウイルス吸着タンパク質(Virus-Binding Protein:VBP)を用いたウイルス検出技術の開発に際し,担体として選択したガラスビーズへのVBP固定化法を確立し,その後,ガラスビーズへの非特異的吸着を抑制するためのブロッキング剤の検討を行った. VBPのガラスビーズの固定化は,まず,ガラスビーズ表面をアミノシランでカップリングすることでガラスビーズ表面にアミノ基を導入し,その後,グルタルアルデヒドによってVBP表面のアミノ基とガラスビーズ表面のアミノ基を架橋することによって良好に行われた. VBPを固定したガラスビーズへの非特異的な吸着を抑制するブロッキング剤として物質表面にブラシ状の修飾を施し,その熱力学的運動によって表面における物質の沈着を防ぐ効果(Grafting効果)をもたらすカゼイン,及びガラス表面に親水性を与えるエタノールアミンを比較検討した.ブロッキング効果は,VBPのN末端に存在するペプチド配列に特異的に吸着する抗体であるXpress抗体を使用したELISAを行い,VBPを添加したガラスビーズから得られた吸光度と,VBPを添加しなかったガラスビーズから得られた吸光度からSignal/Noise(S/N)比を算出することで評価した.ブロッキングをしなかったガラスビーズからは0.218の吸光度が得られていたのに対し,カゼイン,エタノールアミンでブロッキングしたガラスビーズから得られた吸光度はどちらも0.050以下であり,十分なブロッキング効果が得られた.また,カゼインをブロッキング剤として用いたガラスビーズのS/N比は4.85であったのに対し,エタノールアミンをブロッキング剤として用いたガラスビーズのS/N比は1.54であった.エタノールアミンはVBPの吸着能を阻害していると示唆され,Grafting効果を持つカゼインをブロッキング剤として使用することで,VBPの活性も損なわず非特異的吸着が抑制できることが明らかとなった.
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Research Products
(4 results)