Research Abstract |
本年度は腸管系ウイルス吸着タンパク質(EVBP)を用いたウイルス検出技術の開発に際し,これまでに分離されていたノロウイルスGII.4に吸着能を示すVBP(NoVBP)に対して,複数種の病原ウイルスへの吸着能を評価し,さらにウイルス粒子を固定したアフィニティクロマトグラフィーゲルを利用した新たな分離方法でEVBPを分離した. ELISA法を用いてNoVBPとノロウイルス様中空粒子(NoVLP)GI.7, GII.3, GII.6, A群ロタウイルス,及びポリオウイルス1型に対して吸着能を評価したところ,全てのウイルス粒子に対して吸着能を示すことが明らかとなり,NoVBPはEVBPとなりうるタンパク質であることが明らかとなった.また,NoVBPとウイルス粒子の結合定数を算出したところ2.36x10-^7Mであり,抗体の結合定数(1.0×10-9M)よりも大きいが,金属イオンとタンパク質の結合定数(1.0×10-3~-5M)より小さく,EVBPとしては適当であると考えられた.さらに免疫電子顕微鏡法を用いてNoVBPとNoVLPの結合を観察した. アフィニティクロマトグラフィーゲルにNoVLP GII.4を固定し,新たにEVBPを分離した.ELISA法によって分離したEVBPと病原ウイルスとの吸着能を評価したところ,NoVLP GI.7, GII.3, GII.6,及びA群ロタウイルスに吸着能を示すタンパク質が得られ,さらに二次元電気泳動によって,得られたEVBPは4つのスポットに分けられ,それぞれの分子量と等電点は(35kDa, pI4.0),(40kDa,pI7.0),(50kDa,pI4.0),及び(50kDa,pI9.0)であった.
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