2008 Fiscal Year Annual Research Report
位相共役鏡を用いた高強度超短パルスレーザーシステム
Project/Area Number |
08J05377
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
縄田 耕二 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザー装置 / 位相共役光学 |
Research Abstract |
申請者はこれまでの研究で位相共役Nd:YVO_4増幅器とカスケードに配置した第2側面励起Nd:YVO_4増幅器によって90Wを超えるピコ秒パルスの発生を達成してきた。100Wを越す出力を達成するためには位相共役Nd:YVO_4増幅器の更なる高出力化が必須である。本年度は位相共役Nd:YVO_4増幅器における寄生発振の抑制を行い、利得の最適利用を行うため励起波長をNd:YVO_4の吸収ピークである809nmから短波長側へずらすことで利得分布を積極的にコントロールし、増幅器内部のシグナル光と利得分布の最適設計を行うことにある。側面励起型Nd:YVO_4増幅器は高い吸収係数(809nmで30cm^<-1>)と大きな誘導放出断面積(2.0×10^<-18>/cm^2)によって励起端面付近に非常に大きな反転分布密度を形成することで極限までに高い利得を得ることができるが、極度に高まった利得によって寄生発振を誘起しやすいという欠点があった。本研究では励起波長をNd:YVO_4の吸収ピークである809nmから804nmまでずらし吸収係数を8.8cm^<-1>まで抑えることで、励起エネルギーの70%が吸収される吸収長を0.4mmからシグナル光との最適結合となる1.2mmに伸ばすことで寄生発振を防ぐとともに励起端面に集中していた熱負荷を分散させることに成功した。さらに空間フィルターによって高周波成分を除去することで位相共役鏡による自然放出光の増幅器へのフィードバックを防いだ。その結果30W以下であったレーザー出力が45W以上となった。 これは位相共役鏡を用いたピコ秒パルスレーザーシステムとして最高出力であり、MHzのパルス繰り返しレートを持つ画期的なレーザーシステムである。今後カスケードに配置した第2側面励起Nd:YVO_4増幅器によって100Wを超えるピコ秒パルスレーザーシステムの実現を目指す。
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Research Products
(1 results)