2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁束反発を利用した分離型磁気シールド実現に関する研究
Project/Area Number |
08J05381
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中嶋 祥博 Kyushu University, 総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気シールド / 心磁界 / 分離型磁気シールド / 能動補償 / 生体磁気 / MCG / 磁気計測 / SQUIDセンサ |
Research Abstract |
本研究は,磁束反発を利用した分離型磁気シールドを用いた,バリアフリーな心磁界計測を可能とする磁気シールドの実現を目的として行われた。 研究の2年目である21年度は研究計画に即し、1)磁束反発を利用した能動補償,2)シェイキング漏洩磁界の低減,3)SQUIDシステムの組み込みと磁気シールドの実証評価,4)心磁界の測定,の4つの課題を行った。特に本年度は1),3)に関して集中的に行った。 1)においては人体サイズの分離型磁気シールドを対象として行った。実験によりフィードバック制御が制御系として適していることを明らかにし,フラックスゲートセンサを参照用センサに用いた能動補償で,商用周波数である60Hz成分の環境磁界を1nT程度まで低減することができた。また,評価用磁界として与えた一様磁界を模した磁界に対しては,SQUIDセンサの計測方向である上下方向において1-100Hzの広い周波数領域にわたって,シールド比10000以上もの非常に高いシールド性能を達成した。 3)においてはRFノイズ対策として磁気シールド周囲に銅メッシュの囲いを施し,能動補償と組み合わせSQUIDセンサの安定した駆動に成功し,SQUIDセンサによる評価により,60Hz成分の環境磁界は100pT程度に低減され,ノッチフィルタの併用により影響を十分に小さくできること,ノイズフロアが1pT/〓Hz程度と十分に小さい値を達成していることを明らかにした。一方で,実験室階下に設置されている製膜装置などの大規模実験装置に起因する30Hz,40-50Hz付近の低周波変動磁界の影響が大きく10pT程度の勾配磁界が存在することが分かった。 最終目的である4)の心磁界計測は,QRSに相当する周期的なピークの観測は成功している。しかしST節など磁界強度の小さな信号は上記の階下の実験装置による変動磁界に埋もれてしまい,今後の対策としてシールド内部の勾配磁界に対する課題を残すことになった。
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Research Products
(8 results)