2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05390
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本所 恵 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | スウェーデン / 総合制高等学校 / カリキュラム / 科目組立方式 / 評価 / 全国学力テスト / 必修科目 / 選択制 |
Research Abstract |
1990年代に行われたスウェーデンの総合制高等学校のカリキュラム改革が、学校レベルにおいてどのように実現し展開しているのかを検討するために、学習の評価と成績システムに焦点をあてて検討した。とくに、共通必修科目である「数学A」について、全国悉皆で行われている学力テストの実際の設問と評価基準を取り上げ、そこで目指されている学力像や基盤にある評価論と対応させながら検討した。この検討からは、生徒の到達度や専門分野が異なっても、それぞれのレベルや専門分野の文脈で知識を用い、コミュニケーションをとることが重視されていることが明らかになった。(日本教育方法学会第44回大会発表、『教育方法学研究』第34巻) また、成績システムと学力調査の歴史を辿ることによって、現在の全国学力テストがどのような特徴を持っているのかを明らかにした。それは、全国共通のカリキュラム規定において示される教育目標の具体的な意味を明らかにし、学習活動のモデルを示すものであった。 以上のように共通科目について検討する一方、選択科目については、カリキュラム編成において生徒がいつ何を選択する機会を得るのかを整理し、そこに内在する理念の検討を行った。(『京都大学大学院教育学研究科紀要』第55号)選択科目は、専門分野の学習を深めることによって特定の進路希望に応じると同時に、大学や成人教育機関と同じ履修システムを用いることで将来必要に応じて学習する素地を育て、進路変更の可能性を含めた希望進路の実現を保障していた。教育実践の具体的な姿を踏まえながらカリキュラム編成の理念を検討することで、高等学校のカリキュラムにおける重要な論点である共通性と多様性について教育方法の視点から論じるための作業を進めた。
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Research Products
(4 results)