2008 Fiscal Year Annual Research Report
実践的研究による「子ども参画」再考:<子ども-大人>関係の出現・変容過程に着目して
Project/Area Number |
08J05418
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 智也 Kyushu University, 人間環境学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 子ども参画 / 子ども参加 / <子ども-大人>関係 / 子どもの居場所 / 地域への浸着 / 実践的研究 / 環境心理学 |
Research Abstract |
本研究では、自らが実践する子どもの遊び場「きんしゃいきゃんぱす」において、<子ども-大人>関係の出現・変容過程を明らかにするとともに、それらの関係性のモデル図やプロセス図の作成に取り組むことを通して、地域での「子ども参画」のあり方を問い直すことを目的としている。 そこで本年度は、日々の実践を展開するとともに、文献精読に励んだ。それらの成果として、「子ども参画」の理論的背景を整理し、日本で取り組まれている子ども参画・参加実践についてのレビュー論文を執筆・発表した。また、学会ポスター発表においては、実践現場での事例に基づき、子どもが地域のなかで遊び、大人との関係性を紡ぐ過程を通して、地域に浸着していく在り様を示した。具体的には「きんしゃいきゃんぱす」を拠点として、自らの遊び場をまちに広げていくこと、そしてその広がりによって子どもと大人の文脈が重なり合い、浸着していく様子を捉えることができた。また、別の学会のポスター発表においては、具体的エピソードに着目し、子ども個々人が遊び・活動へ参加するというミクロな参加場面において<大人-子ども>関係が出現し、その関係性が遊びの展開に伴って変容する中で、子どもたちが大人世界へ参加するというマクロな参加場面が立ち現われてくることを明らかにした。また、多層的な参加のプロセスを経る中で、互いの遊び・活動を奪い合う動態が参加を促進するとともに、関係性を深めていく様子も見受けられた。 子どもを取り巻く環境が急激に変化している現代において、子どもの生活世界としての「地域」に着目し、そこへの参加(浸着)の在り様とその意味について迫っていくことは、喫緊の課題であると言えよう。今後はさらに、研究対象での知見を蓄積しながら、普遍的なモデル図・プロセス図の作成に挑戦し、当研究分野の発展とともに、他の実践現場の活性化に寄与したい。
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Research Products
(3 results)