2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子動力学法による金属酵素反応システムの機能発現機構の解明
Project/Area Number |
08J05437
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
庄司 光男 Nagoya University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子古典混合近似 / サーフェスホッピング / 核の量子化 / プロトン移動 / Empirical Valence Bond / 量子分子動力学 / トンネリング / アンモニア |
Research Abstract |
本研究では生体内金属酵素の反応機構サイクルを解明するため、新規方法論の開発とそれを用いた実在系の計算を行うことを目標にしている。対象とする系のサイズは大規模でありかつ、時間スケールも極めて長いため、現在の方法論では取り扱えない。しかし生体内反応は重要かつ高効率なエネルギー、物質変換過程として極めて優れており、全体としての仕組みを解明することは極めて重要であると考える。特にこれまで行われてきているような反応過程のごく一部の反応過程を解明するだけでは物質変換過程について解明できたとはとても言えない。そこで本研究では幾つかの新規分子動力学法を開発することを試みた。 前年度においてMultiState-Empirical Valence Bond(MS-EVB)法を実装した。これにより結合生成、乖離がある化学反応に対しても古典分子動力学計算が行える。 本年度ではそれを基に、核を量子化し、より正確な分子動力学計算が行える量子分子動力学法の新規開発を行った。本方法は核の量子性が顕著な分子間プロトン移動反応に適しており、移動プロトン核を位置で3次元量子化した。 量子古典混合系として系全体を取り扱い、量子系の時間発展にサーフェスホッピング法を用いた。プログラムのコーデングから行い、効率よく計算できるアルゴリズムの模索を行った。量子系のハミルトニアン要素の数値積分にはFuzzy Ce11法を応用した多中心積分法を用い、時間発展にマルチタイムステップ法を用いた。まず始めに最も簡単な系であるアンモニウムイオンにおける分子間プロトン移動反応:NH_3+NH_4->NH_4+NH_3に適用した。MN間距離が近い時、トンネリングが起こり、量子的なプロトン移動ダイナミックスが正しく記述されている事を確認した。本方法は生体内といった凝縮系内でも正確な量子ダイナミックスを記述できる新しい方法であり、極めて画期的である。
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Research Products
(5 results)