Research Abstract |
フォトフェントン反応を応用し,電気化学的腐食反応と複合することにより排水処理,二酸化炭素排出削減,エネルギー生成を同時に行う,Innovative Water Treatment System(IWTS)の開発を行った。モデル染色排水としてオレンジIIを用い,IWTSによるモデル染色排水の連続処理実験により,その性能を考察した。鉄板の電気化学的腐食反応によって排水中に溶出した鉄イオンはフォトフェントン反応の鉄源として用いることができ,それによりOHラジカルが生成され,オレンジIIの脱色が行われることを確認した。染色排水は連続装置内の相対流路位置が0.8の点では,定常状態で人口オレンジII濃度の約84%まで脱色することができた。また,鉄イオン濃度はリアクター内でほぼ一定の値を示し,過酸化水素は,フォトフェントン反応によって連続装置内を進むにつれ徐々に分解されていった。IWTSによる染色排水の脱色中に生成した電気エネルギーと水素ガスは溶出した鉄1kgあたりそれぞれ16.5Whkg^<-1>-Fe_<reacted>と13g-H_2kg^<-1>-Fe_<reacted>であった。理論的には,鉄1kgから,水素・電気エネルギー,それぞれ36g-H_2kg^<-1> Fe_<reacted>,421Whkg^<-1> Fe_<reacted>と見積もられるが,本研究ではアノード電極上の酸化被膜の形成やオレンジIIの還元に電子が使われたため,それぞれの発生量が減少したと考えられる。以上のことから,フォトフェントン反応と電気化学的腐食反応を複合することにより,排水を処理すると同時に電気・水素エネルギーを回収することができることがわかった。これにより,排水処理をすると同時に,エネルギーを生産することのできる新しい水処理技術の開発の可能性が示唆された。
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