2008 Fiscal Year Annual Research Report
Pi2型磁場波動への独立成分分析の応用によるオーロラ嵐の総合的診断
Project/Area Number |
08J05443
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徳永 旭将 Kyushu University, 宙空環境研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オーロラ嵐 / Pi2型磁場波動 / 独立成分分析 / 診断学的 / 特異スペクトル分析 / 変化点検出 |
Research Abstract |
1.時間周波数領域でICAを解くためのICAアルゴリズムの改良 地上で観測されるPi2型磁場波動には、磁気圏におけるPi2の生成機構と伝播機構に関する情報が重畳している。それらを逆問題として解くには、出力信号のみから未知の入力信号と未知のシステムを同時に推定しなくてはいけない。それを解くために現在最も有力な手法がICA(独立成分分析)である。我々は、九州大学宙空環境研究センターから提供を受けた地上磁場の多点時系列データに対し、伝播遅延を考慮したICAモデルを適用する枠組みを構築した。具体的には、効率よく時間周波数領域でPi2を分解する、ために、ICAアルゴリズムの改良を行った。 2.オーロラ嵐発生を診断するエキスパートシステムの基礎構築 この項目は、研究実施計画には記載していなかったが、本研究の目標達成において重要であると判断し、今年度の研究遂行の過程において新たに盛込んだ課題である。オーロラ嵐の発生は、Pi2だけでなく、オーロラ粒子の降り込み、オーロラ発光強度の爆発的増強、静止軌道における夜側磁気圏の構造変化など、時間的・空間的スケールの異なる様々な現象を観測した上で、総合的に診断されるべきものである。過去のオーロラ嵐研究では「職人的に」その開始時刻が同定されて来たが、我々はそれを客観的・定量的に診断する方法を模索した。互いに「ヘテロな」時系列データを駆使し機械的に異常を検出することは容易ではなかったが、試行錯誤の末、近年工学システムの異常診断などに応用され始めたSSA(特異スペクトル分析)を応用した変化点検出法が我々の目的に適していることをつきとめた。近年工学システムの異常診断などに応用され始めた手法である。地磁気データを解析するシステムへの実装も完成し、現在までに実験したeventにおいては、非常に高い精度でPi2の発生時刻を捉えることに成功した。
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Research Products
(14 results)